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第２話
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―越えねばならない分厚い壁に挑むうえむら。しかし突き刺さる「40点やな」と言う一言。―


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take①

うえ 「・・・・・と、言う事がありまして。」

うえ 「ナンガさんで新たにオリジナルのシュラフを作ってもらおうと思っているんです。
　　　 Ｍくんの言う、それ一本あれば年中使える様なものを考えています。」

　◆バイヤーMくんの要望
　　４シーズンコレ１つで使えるのがいい
　　夏は涼しく、冬は暖かくがいい
　　ダウンがいい
　　デザイン性
　　コンパクト性
　　収納性
　　★3万円以内★


部長 「・・・・なるほど。
　　　 んで、具体的にはどう考えてるんや？」

うえ 「はい。例えば、シュラフ専用の大きいダウンのブランケットを作って重ねるのはどうかな、と。
　　　　寒い時はそれを重ねてより暖かく出来るし、暑い日はそれを掛け布団みたいに使えますよね。
　　　　そしたらある程度の温度調整が出来るじゃないですか。
　　　　それで、ブランケットの収納袋を大きく作ってシュラフ本体も入れてしまえる様にしたら
　　　　1つにまとめてしまえるし、持ち運びも出来るかなぁと思っています。」


うえ 「どうでしょうか？」


部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」







うえ(・・・・ゴクリ。)





部長 「40点やな」

うえ 「・・・・・。」






部長 「発想はちょっと近づいてるけど、ブランケットを重ねるだけやとズレたりして寒いんちゃうか？
　　　　それに、そのバリエーションだけでは『4シーズン使えるシュラフ！』なんて堂々と言うのは難しいやろな。
　　　　冬はそれでクリアするかもしらへんけど、
　　　　春とか秋の『どのくらい寒いか予想が付かない』時にも調整が効く様にするべきやろ。
　　　　【それ１つで年中使えるシュラフ】がコンセプトにするなら、もう少し考えてみてくれ。」

部長 「収納方法ももう少し改良出来そうやな。」


うえ(うぅ・・・。確かに言う通り・・・・。)

うえ 「・・・も、もう一度考えてきます・・・！」


・・・そして、take②・・・


うえ 「・・・・・と、言うわけで！」

うえ 「もう1回考えてきましたっ！」



部長 「どれ。聞くわ」

うえ 「ありがとうございます！
　　　まずは、キーワードである4シーズンにそれだけで対応する、と言う所に主眼を置いて、
　　　従来のシュラフになかった様な、特殊な構造にしようと考えています。
　　　形は、前提として[キャンプがメイン]と言うのと、[温度調整]に重点をおく必要があるので
　　　ゆったり眠れてかつ、足が出せるスクエア型を採用しようかと考えています。」

うえ 「そして、前回提案した大型ブランケットの案に近いんですが
　　　着脱式の専用インナーを作って、それを内側に合体させる形にしようかと。
　　　そしたら、ズレる心配もなくなるし、密着度も上がって暖かくなるはずです。」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　↓本体　　　　↓専用インナー



うえ 「それに、課題の1つだった温度調整もかなり色々なバリエーションで出来る様になります。」

↓うえむらの脳内イメージ



うえ 「これだと、夜にどのくらい冷えるかの予想が一番立てにくい春と秋も
　　　　かなり自由に暖かさの調整が出来る様になると思うんです。」


部長 「なるほどなぁ・・・・。」

うえ 「あとは収納面をクリアすれば、と言う感じなんですが、どうでしょうか？」


部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



うえ (・・・・ゴクリ。)


部長 「ええやんけ。」

うえ (おぉぉ・・・！)

部長 「収納はこうしたらどうや？」

(カキカキ・・・)




うえ 「おぉぉ！いいっすね！
　　　　これだとそんなに大きくならないだろうし、持ち運びも出来ますね。」

部長 「せやろ？
　　　　1回これでナンガさんに言ってみてくれ。
　　　　それ以外の基本的な所は問題ないで。」

うえ (よし！)

部長 「ただ、１つだけ懸念するのはこれだけ盛り込んでほんまに3万円で収まるんかってとこやな」


うえ 「ギク・・・。その通りなんですよね・・・。

　　　 あれがいいこれがいい、って言うのもいっぱい出てきて、
　　　 色々ナンガさんに話をしていたんですけど、
　　　 出てきた想定の見積もりだと、どう考えても5万円くらいの売価になるんです・・・。
　　　それで、なんとかコストを下げてもらう様に何度か交渉してみたんですけど、最終的に
　　 　『どう頑張ってもこの価格いただかないと生産するのは厳しいです』
　　　 って感じで言われてしまいまして・・・・。」

うえ 「Ｍくんは予算3万円でたのみますネ！って期待してるし、
　　　 TKMは相変わらずうんちくばっかりだし、なかなか行き詰ってます・・・(；一_一)」







うえ 「でも、Ｍくんだけじゃなく、普段キャンプをやっている人でも
　　　 こういうスペックのシュラフが 絶対欲しいと思ってるはずなんですよ！
　　　 でも、例えば『いいシュラフありますよ～！』って僕らが紹介しても
　　　 『はい、5万円です！』って言っちゃうと、きっと使ってもらえないと思うんですよね・・・。」


うえ 「なので、Ｍくんの意見抜きにしても、3万円は絶対譲れないですね。
　　　　となると、もう直接行って話をしてくるしかないかな、と考えています。」


部長 「・・・・・・・・・・・なるほどなぁ。

　　　 けど、今の話やと、うえむらがナンガさんに行った所で
　　　 3万円以下の価格にするのは相当ハードル高いと思うけど、 成果は出せるんやな？」


うえ 「か・・・必ずなんとかしてきます！」



部長 「・・・わかった。」



部長 「行ってこい。」




うえ 「ありがとうございます！！！」









部長 「あ、そうや。
　　　　全然話変わるけど、今月ちょっと予算の進捗が悪くなってきてるのはなんでや？」


うえ 「う・・・。そ、それが実は・・・。
　　　　このシュラフの企画に集中しすぎていて・・・それも原因にあったり・・・なかったり・・・。」


部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・？」




部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・？」




部長 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・！！！」




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というわけで、
しんどいからまた今度・・・とか言ってられない事態に、自分を追い込んでいきました！！
今度こそ、新しい商品が生まれるかも！なんてゆう淡い期待ではなく、
明確な希望を持って、取り急ぎナンガさんのある滋賀県へ飛ぶ・・・・・・うえむら。



果たして「コレ１つで年中を通して快適に使える」
そんな都合のいい、便利なシュラフは出来上がるのでしょうか？


第３話　へ続く。
－ついにナンガさんへ潜入！一つだけ・・・方法がある！？－

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